「こんなときどうしよう?」と悩むとき、その時の参加者の気持ちが想像できると、どうしたらよいかの指針につながります。こんなときに皆がどんな気持ちなのか、やりやすくするにはファシリテーターは何ができるか、考えてみましょう。
こんな場面
参加者がなりがちな気持ち、思いがちなこと | ファシリテーターは何ができる? | 例えば、こう言う |
部屋に入ってきてその場を見た時
初めて見る空間に緊張~。。。 | 緊張が少しでもほぐれるような音楽を流すなどの仕掛けを。まずは歓迎の気持ちを伝えましょう。何人かいて声掛けるタイミングを逃したと思っても、後からでもよいので一人一人に必ず声を掛けるように。 笑顔で「こんにちは」「ようこそ」と挨拶。 | 「迷いましたか?」「暑かったですね」など、すぐに返事できるような言葉をかけましょう。 |
受付した後
どこに座ったらいいかな。荷物はどうしようかな。 | 荷物や上着の置き場所を明示しましょう。椅子に資料を置くなどすると、座っていいところがすぐわかります。一番前など遠慮しがちな席にはクッション置くなど、少しでも座りやすく。 | 「資料が置いてある席へどうぞ」 「手元には筆記用具だけで結構です」 「後で席を移動することもあるので、大きな荷物はこちらにどうぞ」 |
始まるまでの間
人が集まってきた。緊張する。 | 始まるまでにやっておくと良いことを示しましょう。今のうちに飲み物を用意、とか。 | 「始まるまで後〇分あるので、今のうちにトイレなどどうぞ。」 「飲み物はお手元にどうぞ。自販機は△にあります。」 「お茶やお菓子はご自由に」 |
集まりが悪い時
席が埋まっていないな。集まっていないのかな。。 | 時間までに来た人の気持ちを尊重し、開始を遅らせる場合は必ず開始時間前に遅らせることの了承をもらう。遅らせた開始時間を伝え、その時間になったら揃ってなくても始める。(再度遅らせるのは基本ナシと考えよう) | 「まだ来ていない方がいるのですが、少し開始を遅らせてもよろしいですか」 「では□分遅らせて○時△分開始にします」 |
こんな場面
参加者がなりがちな気持ち、思いがちなこと | ファシリテーターは何ができる? | 例えば、こう言う |
始まった時
どんなことをやるのかな。ついていけるかな。不安だな。 | お互いのことがざっと分かるような声かけを。全体像が把握できるようオリエンテーションを工夫しましょう。 | (挙手を促すように)「初めての方は?」「お知り合いが居る方は?」 オリエンテーションのOARRを意識して、端的に伝えましょう。 |
わからないことができた時
分からないけど聞いたら恥ずかしいかな。 | 質問や発言は気後れしがちであることを意識して。Yes/Noや挙手で答えられるような問いかけをしてから内容を聴くと言い出しやすい。言葉の説明で分かりにくいことは、モデルとして一例をやってみる。モデルを示すときにはぜひ参加者に協力してもらいましょう。 | 「分からないことや、気になることがある人はいますか?」 手が挙がったら「それはどんなことですか?」 「ちょっとやってみますね。こちらの方、ご協力いただけますか?」 |
何か作業をする時
何をするのかな?期待と不安。 | インストラクションは「なぜ」「なにを」「どのように」を伝えて。必ず分からないことはないか、質問を受けましょう。 | 「これから○○をやります。それは△△のためです。やり方は□□です。」 |
休憩に入る時
休憩中にはどこまで行っていいのかな?いつまで休憩かな? | 休憩時間の長さだけでなく、再開の時刻を伝えます。休憩中にやってもいいことは明言し、やってほしくないことも伝えます。 | 「今から○分間休憩します。△時□分から再開するので席に戻ってください。」 「休憩中はお茶やお菓子でリフレッシュしてくださいね」 「休憩中には伸びをしたり肩を回したりして少し動いておきましょう」 「トイレは○○にあります」 「館外に出るときにはスタッフに声を掛けてください」 |
休憩中
自由にとなると声を掛けづらいな。盛り上がっている人には割り込めないな。 | リラックスできる音楽などを流すと、音楽がなっている間は休憩時間、ということが分かります | 参加者の様子を観察して、声を掛けましょう。参加者同士の会話が生まれるような問いかけができるとよいですね。一人でいる人や席を立たない人にも声を掛けてみましょう。 |
こんな場面
参加者がなりがちな気持ち、思いがちなこと | ファシリテーターは何ができる? | 例えば、こう言う |
とても盛り上がってワーワーと話している時
話が楽しくてやめられない。/皆が盛り上がっていて話すタイミングが掴めない。 | 特定の人だけ が話していないか、ずっと黙っている人がいないか観察します。 | 「そろそろ他の方のお話も聞きたいところですね」 「違う感じを持った方はいますか」 「同じようなことと思ってもご自分の言葉で言ってみてください」 |
書いてほしいけど誰も書き始めない時
誰かが書いてくれるだろう。私が書いてもいいのかな? | ペンを持ってキャップを外して渡してみる。誰も受け取らなかったら、一度引っ込めて、少ししてからまた渡す。 | 「いい言葉ですね。書いてみてください」 「書いておくとあとで見られるので書いておきましょうか」 |
同じ人がずっと喋っている時
誰もしゃべらないから自分が話さなきゃ。/話している人がいるから黙っていよう。 | 発言を書いてみることで、発言のポイントを見えるようにする。 書こうとすると、まとめて言おうという気持ちが働く。 | 「せっかくの意見なので、書いてみますね」 「ポイントはどんなことですか」 |
ずっと黙っている人がいる時
あの人ずっと黙ってるな。/ 話しだすタイミングがつかめないな。 | 意見はまとまってなくても、何かは感じているもの。今思っている気持ちを聞いてみる。 | 「これまでのところをお聞きになってどんな感じですか」 「同じようなことと思っても、ご自分の言葉で言ってみてください」 |
言い合いになってしまった時
もう引けない。言い負けたくない。/他の人が言い出すタイミングがない。 | 発言を書いてみせることで、争点を見えやすくする。 | 「ちょっと発言を書いてみていいですか?」 (双方の発言を書いてみて)「ここが違う点のようですね」 「この点について、他のみなさんはどう感じましたか?」 |
シーンとしていて誰も話し始めない時
何を言えばいいのか分からないな。最初の発言はしにくいな。誰か言ってくれないかな。 | やることが分からないようなら、質問を受けます。考えがまとまっていないようなら、一人で考える時間をとります。 最初の一言が言いだし難そうなら、トップバッターを決めておきます。誕生日順でも背の順でも50音順でも簡単なもので。ファシリテーターに近い人から、でもよいです。トップバッターを決めたら、右回り/左回りなど、順番を決めてしまいます。 | 「何をやるか、どうしたらいいか不安のある方はいますか?」 「少し一人で考えてみましょうか。思いついたらメモをしたりしてもよいですね。1分くらい時間取ります。」 「では、誕生日が一番早い人にトップバッターをお願いします。その方から右手の方へぐるっとまわって順番にお願いします」 |
こんな場面
参加者がなりがちな気持ち、思いがちなこと | ファシリテーターは何ができる? | 例えば、こう言う |
終わってないけど時間になった時
いつ終わるのかな。もっと延びるのかな。 | 参加者の様子を見て、もう少し続けたそうかどうか、続けたらより良いけ結果になりそうか考えます。時間的に許せるかどうかも重要です。 | 「そろそろ時間ですが、もう少しやりますか?後何分くらい要りますか?」 「もう少しやりたいところですが、ここまでで終わりになります」 |
やり終わったように見える時
やったー、終わったー。/ちょっと違和感あるけどいまさら言い出せない。 | 納得していない人がいないか、確認します。 全員がこれでよい、と思っているようなら、全員が見落としていることがないか、ゴールに照らして再考を促します。 | 「ちょっとした気になることや、もう一度確認したいことはないですか」 「改めてゴールを確認してみましょうか。○○(ゴール)から見て、補足や追加は必要ないですか」 |
間が余った時
まだやるのかな?/時間余ったらどうするのだろう? | 今日の体験(学び)を深め、次ぎにつなげるための時間をとります。やってきたことを振り返り、質問事項を少人数の話し合いで考えたりもできます。この時間を受けて、自分は何をするのかを整理する時間も取れます。 | 「時間に余裕があるので、これまでを振り返って頭を整理してみましょうか」「今日の感じたことや気づきを、少し時間を取って少人数で話してみましょうか」「この時間を活かして現場で何が活用できるかイメージしてみましょうか」 |
こんな場面
参加者がなりがちな気持ち、思いがちなこと | ファシリテーターは何ができる? | 例えば、こう言う |
マーカーや名札などが手元にある
これはどうしたらよいのかな? | 退出するまでにやってほしいことをハッキリ伝えます | 「受付に戻してほしいものは3つです。アンケート用紙はこちらへ、マーカーと名札はカゴにお返しください。」 |
なかなか帰らない
名残惜しいな。 | 撤収時間までに気持ちよく引き上げてしもらうために、あらかじめここにいられる時間を伝えておく。片づけながら話をする。そろそろ引き上げてほしい時間になったら「お忘れ物ないように~」などと全体に声を掛ける | 「終わってから○分くらいはお話してても大丈夫です」 「手荷物を確認してくださいね。お忘れ物ないように、お帰りください。」 |
聞きたいことがある
個別に話を聞きたい人がいる。後で連絡を取りたい。 | 名刺交換や連絡先交換を呼びかける。名刺を持っていない人もいるような場では、「連絡先交換カード」と称して名前と連絡先を書いて渡せるようなメモ用紙を用意しておく。 | 「名刺や連絡先を交換するなどして、このあとも連絡取れるとよいですね」 「こちらの連絡先交換カードもお使いください」 |